さめざめ

男の人の涙がすき。

透明の涙をぼろぼろ流して、わたしより10センチも20センチも大きい、大人の男が泣いているところ。

男の半分の細さのわたしの腕のなかにぬるりと入って、泣きそぼっている男。

あの瞬間が愛しい。

 

 

反対に、女の涙はだめ。

打算が透けて見えて、みっともない。

そうでなくてもだらしなくて、ばれたくなくて、声をあげずにないていてもすすった鼻水ですぐばれて、目尻を情けで拭われて。

あの瞬間が世界で一番惨めだった。